フランスは気候も土壌もぶどうの栽培に非常に適しており、国土のほぼ全域でワインがつくられています。年間総生産量は約700万キロリットルで、イタリアと常にトップ争いで肩を並べています。年間消費量にいたっては、さすがは水代わりにワインを飲むお国柄のため、一人当たり約67.5リットルと世界第一位です。
またワインづくりの歴史も古く、ロマネ・コンティのように何世紀にもわたって世界にその名を残している偉大なワインも数多くあります。フランスは名実ともに世界一のワイン大国なのです。
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フランスワインの格付け
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フランスのワインはAOC(原産地統制名称)ワイン、AOVDQS(原産地名称上質指定)ワイン、ヴァン・ド・ペイ、ヴァン・ド・ターブルの4つに分類されています。
このうちAOCワインは、原産地(地方、地区、村、畑などに細分化されています)、ぶどうの品種、醸造法などを厳しく規定したAOC法(1935年制定)にのっとってつくられたもので、INAO(原産地名称国立研究所)の検査に合格した高級品です。現在AOCワインとして認められている原産地は約400箇所あります。
また1949年にはAOVDQSもINAOの管轄下に置かれるようになりましたが、AOCに比べると規制はややゆるいようです。
一方ヴァン・ド・ペイやヴァン・ド・ターブルは、1979年に設立されたONIVINS(全国ワイン同業者連合)によって管理・規制されています。
このように、フランスのワインは行政機関によって厳しく管理されており、それが品質の低下防止に大きく役立っています。こうしたシステムは、世界中のワイン生産国の手本とも言えます。
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フランスワインの生産地
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AOCワインの生産量はフランスワイン全体の約4分の1にしかすぎませんが、そのうちの6割がボルドー地方、ブルゴーニュ地方、コート・デュ・ローヌ地方、ロワール地方の、いわゆる4大生産地でつくられています。
その中でも特に有名なのが、西のボルドーと東のブルゴーニュです。ボルドーは「ワインの女王」、ブルゴーニュは「ワインの王」と呼ばれるほどです。ボルドーのワインは数種類の品種のぶどうを混醸してつくられているのに対し、ブルゴーニュのワインは単一の品種のぶどうからつくられており、それぞれに奥深く、バリエーション豊な味わいを醸し出しています。
4大産地以外ではスパークリング・ワインの産地シャンパーニュ地方、ドイツ国境に近く白ワインの産地として知られるアルザス地方、フランス一の生産量を誇る地中海沿岸のラングドックとルーション地方、歴史の古いプロヴァンス地方などが有名です。
この他、スイス・イタリアに近い山間部のジェラ地方とサヴォア地方、また南西地方でも良質のワインがつくられており、これらすべてを含めて10大産地とも言われています。
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